木のはなし
どの木でつくりましょう?
同じ形でも、木によって色や木目、重さや使い道が変わります。木工芸やろくろ挽きでよく使う八種類の木を、重さ・硬さ・挽き心地・仕上げまでまとめました。
ケヤキ
Zelkova serrata
- 色と木目
- 黄褐色に太く華やかな木目
- 硬さ
- 4/5 · とても硬い
- 重さ(気乾比重)
- 0.62–0.75 (水 = 1)
- 向いている品
- 器・蓋物、柱、伝統家具
硬くて狂いが少なく、代々受け継いで使えます。韓国の伝統的な箪笥や器に最もよく使われてきた木です。
- ろくろで挽くとき
- 導管が太い木なので、挽くと木目が力強く現れます。硬いので刃をこまめに研ぎながら挽きます。
- 仕上げと手入れ
- 導管が太く、塗料がよく染み込みます。漆との相性が特に良く、伝統の器にはケヤキの漆塗りが多くあります。
オーク(ナラ)
Quercus spp.
- 色と木目
- 明るい黄褐色にまっすぐで太い木目
- 硬さ
- 4/5 · とても硬い
- 重さ(気乾比重)
- 0.70–0.85 (水 = 1)
- 向いている品
- 階段の手すり、家具の脚、取っ手
重くて丈夫なので、力のかかる部分に向きます。柾目に挽くと虎斑(とらふ)と呼ばれる模様が現れます。
- ろくろで挽くとき
- 硬く目が粗いため、刃が鈍ると表面がむしれます。乾燥途中で割れやすいので、十分に乾かした材を使います。
- 仕上げと手入れ
- タンニンが多く、鉄と水に触れると黒いしみになることがあります。鉄釘やスチールウールは避け、オイルやウレタンで仕上げます。
ウォールナット
Juglans nigra
- 色と木目
- 深いチョコレート色、落ち着いた上品な木目
- 硬さ
- 3/5
- 重さ(気乾比重)
- 0.55–0.65 (水 = 1)
- 向いている品
- 器・皿、照明、上質な小物
ほどよい重さと落ち着いた木目で、上質な小物に人気です。ほとんどが北米からの輸入材のため、価格は高めです。
- ろくろで挽くとき
- 刃がなめらかに入り、繊細な曲線がきれいに出ます。ろくろ挽きに最も向く木のひとつで、研磨も美しく仕上がります。
- 仕上げと手入れ
- オイルを塗ると色がいっそう深まります。年月とともに濃い茶色が少し明るく温かみのある色に変わります。
タモ(アッシュ)
Fraxinus spp.
- 色と木目
- 明るいクリーム色にくっきりした木目
- 硬さ
- 4/5 · とても硬い
- 重さ(気乾比重)
- 0.65–0.72 (水 = 1)
- 向いている品
- 工具の柄、家具の脚、棒
硬いうえに粘りがあり、衝撃で折れにくい木です。樹皮を水に浸すと水が青くなることから、韓国では「ムルプレ(水が青い)」と呼ばれます。
- ろくろで挽くとき
- 木目がまっすぐで、すっきりと削れます。工具の柄やバットのような細長い棒も、反らさずに挽けます。
- 仕上げと手入れ
- 木目はオークに似ていますが、色が明るいので着色に向きます。素地のままオイル仕上げにしてもすっきりします。
チェリー(サクラ)
Prunus spp.
- 色と木目
- 赤みを帯びた茶色、きめ細かくなめらかな木目
- 硬さ
- 3/5
- 重さ(気乾比重)
- 0.55–0.62 (水 = 1)
- 向いている品
- 木の器、茶托、生活小物
きめ細かく均一で、手に触れる物に向いています。海印寺の八万大蔵経の版木も、多くが山桜だといわれています。
- ろくろで挽くとき
- 組織が緻密で、とてもなめらかに挽けます。鈍った刃で長くこすると焦げ跡がつきやすいので、刃は鋭く保ちます。
- 仕上げと手入れ
- 光に当たると数か月で目に見えて色が濃くなります。淡いピンクが赤茶色へと深まっていくのが魅力です。
メープル(カエデ)
Acer spp.
- 色と木目
- 白っぽく明るい色、緻密でなめらかな木目
- 硬さ
- 5/5 · とても硬い
- 重さ(気乾比重)
- 0.63–0.75 (水 = 1)
- 向いている品
- まな板・台所小物、器、おもちゃ
とても硬く緻密で、においや味が移りません。そのため、まな板やへらなどの台所用品に長く使われてきました。
- ろくろで挽くとき
- 硬いので精密な形を挽くのに向きますが、高速で回すと摩擦熱で焦げることがあるため、回転数を調整します。
- 仕上げと手入れ
- 着色するとむらになりやすいため、明るい素地の色を生かして仕上げることが多い木です。年月とともにやや黄色みを帯びます。
アカマツ
Pinus densiflora
- 色と木目
- 黄みがかった色にくっきりした年輪
- 硬さ
- 2/5 · 柔らかい
- 重さ(気乾比重)
- 0.45–0.55 (水 = 1)
- 向いている品
- 柱、学生作品、試作品
軽くて扱いやすく、価格も手頃です。韓屋の柱や梁に使われてきた木で、大きな物や数を作るときに向きます。
- ろくろで挽くとき
- 年輪の柔らかい部分と硬い部分の差が大きいため、刃を鋭く立てないと木目がむしれます。
- 仕上げと手入れ
- 松やにが塗膜の上ににじみ出ることがあります。よく乾いた材を選び、仕上げの前に下塗りで一度止めます。
桐
Paulownia tomentosa
- 色と木目
- 淡い灰褐色、やわらかな木目
- 硬さ
- 1/5 · 柔らかい
- 重さ(気乾比重)
- 0.25–0.30 (水 = 1)
- 向いている品
- 箱、軽い小物、飾り
一般に使われる木の中で最も軽く、湿気でもほとんど狂いません。箪笥や箱、伽耶琴(カヤグム)の響板に使われてきました。
- ろくろで挽くとき
- とても柔らかく、繊維がけば立ちやすい木です。鋭い刃で軽く挽き、細かい紙やすりで仕上げます。
- 仕上げと手入れ
- 押されると跡がつきやすく、力のかかる部分には向きません。表面を軽く焼いて木目を引き立てる「焼桐」という仕上げもあります。
知っておきたいこと
木を選ぶ前に
よく乾いた木を使います
木は乾くにつれて縮み、反ります。室内で使う物は、含水率が10%前後になるまで十分に乾かした木で作ると割れが少なくなります。
大きな器は二度挽くこともあります
厚みのある器は、乾ききっていない木をまず粗く挽いておき、乾いてから挽き直して形を整えます。時間はかかりますが、後の狂いが少なくなります。
仕上げで使い方が変わります
オイルは木の質感がそのまま生き、ときどき塗り直すだけで済みます。ウレタンは水や傷に強い仕上げです。漆は水や熱に強く長持ちしますが、手間と費用がかかります。器や匙など口に触れる物には食品に安全な仕上げを使います。
木は色が変わります
ほとんどの木は光で色が変わります。チェリーは濃くなり、ウォールナットは少し明るくなり、白っぽい木は黄みを帯びます。数年後の姿まで想像して選ぶのがおすすめです。
木が決まらないときは
写真や図面を送っていただくだけで、合う木とお見積もりをご案内します。